第111章 危機一髪

南坂海乃は隣の女に視線をやり、服の裏地に縫い込んであった毒薬の注射器を取り出すと、躊躇なくその首筋へ突き立てた。

ほんの少し押し込めば、毒は一気に体内へ流れ込む。

「出る方法、知ってるんでしょ! 言いなさい!」

中野梅子がびくりと震え、怯えきった目で見上げる。

「わ……私が知るわけないでしょ! なにそれ……入るって決めたのはあんたじゃない。止めたよね、私!」

南坂海乃は低い声で告げる。

「神経毒。24時間後に発作が出る。発作中は――虫が内臓を食い破るみたいな痛み。いちばん近い解毒剤でも、ここまで急いで48時間。……覚悟はできた? 知ってることを吐いて」

中野梅子の震えは、さらに...

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